「ソロストーブというのがありまして…」
インタビュー開始早々、観肇さんの火起こしトークになってしまった。
薪の話から火が付いた。
「そうなんですよね、針葉樹は火が付きやすい代わりに長く持たない。広葉樹は逆に火が付きにくい代わりに長持ちするんです。組み合わせて使うのは、私も最近気づいたんですよ」
さすが、普段から薪を扱っていらっしゃるだけあって、大盛り上がり。
俊二さんの目がキラキラ輝いていた。

能勢で薪パンを作ろうと思い至ったのは、能勢にある奥様、幸さんのご実家にいた時。
「子育てと仕事、暮らしを分けずに一つの循環の中でやりたかったんです」
能勢の大自然に囲まれながら、そんな暮らしをしたいと考えた。
出店は樹齢1000年を越える”野間の大ケヤキ”の元に決めた。
さらに、“能勢でパン屋をするなら薪で”と、いつか味わった薪焼きパンを夢見てお店づくりが始まった。
まさに、冒険の連続だった。
「ピザ窯づくりの経験があった友人や、能勢で陶芸をやっている風気庵の和田さんにアドバイスをもらいました。散歩がてらアドバイスしてくださる方なんかもいて 笑
そんな風に窯を作ったんですが、オープン直前にパンを試作してみたら、真っ白なパンしか焼けなかったんです。」
原因は窯の断熱・蓄熱ができていないことだった。
「慌てて和田さんにまた、”このレンガ試してみたら”とか、構造とか、色々教えてもらってやっと完成したんです。」
他にも、コンクリートに含まれる水分のせいで温度が上がらないとか、煙突掃除の仕方に盲点があったとか、課題は山積みだった。

それでも、薪パン日々を営む中で、多くの喜びがあった。
「地元の人が”まだできへんのか”と心配して覗きに来てくださったり、薪が足りない時には業者を教えてくださったり、動画で宣伝してくれた方もいます。」
幸さんも言う。
「確かにすでに完成している電気窯を購入してパンを焼く選択をしていれば、はるかに簡単だったと思います。業者の方が来て、設置して、それで終わり。でも、たくさんの人が関わってくださって、今でも、”三食米食うてるから買わんぞ!”なんて仰っていた方が、時々パンを買ってくださるんです。
子育てをして、パンを作って、売って、人との関わりができて、ここで暮らす輪の中にいることができています。」
薪でパンを焼く、たったそれだけのことだけれど、それがたくさんの喜びとつながりをもたらしてくれた。
「薪を割っていたら、ムカデやアリが出てくることもある。それでも、子どもも一緒に楽しんでいます。子どもも、見よう見まねでちょっとずつ手伝ってくれるし、勝手に成長してくれていますね。昔は当たり前だったことを、今、自然にできています。」
お店のゴールは”人が集まって、ちょっとおいしいものがある”そんな場所だという。
能勢の誇る大ケヤキの元で、”薪パン日々”の冒険は続く。
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薪で焼いた香り豊かなパンをお楽しみに!!
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Interviewer:能勢妙見山観光協会 植田観肇 吉井麻里子(記)







